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志賀IT事務所

工事進行基準

2009年4月から、ソフトウェアプロジェクトに「工事進行基準」が原則として適用されます。

「工事進行基準」とは、プロジェクトの進捗状況に合わせて売上を分散計上するという会計基準です。
現在は、プロジェクトが完成し、検収した後に一括で売上を計上する「完成基準」が一般的ですので、大きな変革が訪れることになります。

「完成基準」は、よくも悪くもグレーな部分が多く、不適切な会計処理が行われる可能性があるということで見直されたようです。
つまりは投資家の視点で見たときに、透明性のある会計が求められたからで、SOX法の適用と同じような意味があります。

例えば、ソフトウェア業界では3月に売上が上がることが多いのですが、「完成基準」では2月決算の会社の売上は全く上がってこなくなります。
「工事進行基準」では、これを進捗状況に応じて2月に売上を計上してしまうことになりますから、会計基準を変えることで大きな違いが出てくる訳です。


しかし、一番の問題はソフトウェア業界の慣習にあるのです。
多くのソフトウェア開発会社では、見積もり時に「一式」として契約しているのですが、この「一式」というのは大変曖昧なものであり、あえて契約の範囲を明確にしないようにすることで、仕様変更や仕様追加時に柔軟な対応を取りやすくしてきたのです。
ところが、「工事進行基準」を適用することで、契約範囲を明確にし、進捗状況をきちんと把握しなければならなくなりました。
(極論ですが、「完成基準」では、完成さえすれば会計上は問題なかった)

これは、長年「どんぶり勘定」を続けてきたソフトウェア業界では難しいでしょう。
というのも、ソフトウェア開発では複雑性が年々増してきており、設計段階で仕様を確定させることが難しく、その分を見込んだ見積もりやスケジュール管理を行ってきたからです。
また発注者側にとっても、一式契約が困難になるため、要件に漏れていた仕様は追加発注という形となり、コストがより多くなってしまいます。

「工事進行基準」の適用まであと1年です。
それまでに、発注者側も開発者側も、原価や進捗率を適切に算出できるようにしないといけませんので、この機会にプロジェクトの進め方を再検討してみると良いかもしれません。